台湾といえば何を思い浮かべるだろうか。烏龍茶・タピオカミルクティー・夜市——コーヒーを思い浮かべる人はまだ少ないかもしれない。
しかしこの島は世界のコーヒー好きを驚かせる数字を持っている。セブンイレブンが年間4億杯以上、ファミリーマートが2億杯以上のコーヒーを販売しており、合わせると年間6億杯を超える。 Accio
そして産地としての台湾はさらに驚きをもたらしている。2023年のカップ・オブ・エクセレンスで13ロットが90点以上を獲得し、米国のブルーボトルを含む14カ国のバイヤーが参加して記録的な価格をつけた。 Rakuten

100年の歴史:日本統治時代に始まったコーヒー栽培
台湾のコーヒーの歴史は日本と深く結びついている。
最初のコーヒーの苗木は日本統治時代に100年以上前にハワイから輸入された。 Fujisangyo
日本統治時代に雲林古坑で最初のコーヒーの木が植えられ、1世紀後にその地域は50メートルごとにカフェが並ぶ街に変貌した。 Accio
コーヒーの木が島に根付いてから100年——台湾はその間にコーヒー消費大国となり、今まさに生産国としての地位を確立しつつある。
台湾コーヒーの特徴:烏龍茶畑の隣で育つ豆
台湾の地理はもうひとつの秘密の材料だ。島の多くは山岳地帯で、阿里山・雲林・嘉義などの地域がコーヒー栽培に理想的な環境を提供している。 Bowers Lake Coffee
台湾コーヒーの最大の特徴は、烏龍茶の産地と重なる高地で栽培されることだ。霧・高湿度・昼夜の温度差——これらが豆に独特の「お茶のような」甘みとフローラルな香りを与える。
阿里山のコーヒー豆は鮮やかな甘み・フローラルなノート・シルキーな口当たりを持つ例外的なフレーバープロファイルで際立っている。 Atpress
阿里山のコーヒー豆は国際的なカップ競技会でスペシャルティグレードの90点以上の評価を受けており、柑橘・フローラル・烏龍茶・フルーティーのフレーバーノートを持つ。 Daily Coffee News
主要産地ごとの特徴
阿里山(Alishan):台湾スペシャルティの顔
嘉義県に位置する阿里山は台湾で最も有名なコーヒー産地だ。標高1,000〜1,800mの霧がかかる高地で育つ豆は国際競技会で繰り返し高評価を受けている。
標高1,300mのラルアヤ村にある鄒族の家族経営農園「鄒築園(Zou Zhou Yuan Estate)」は1996年に趣味としてコーヒーを植え始めた。やがてライニーと夫のファン(「コーヒープリンス」として親しまれる)が率いるミッション主導の農場へと発展し、台湾固有のテロワールを表現しながら先住民コミュニティを支援するコーヒー作りに取り組んでいる。 Rakuten
嘉義の「卓武山コーヒー農場」と雲林の「松月コーヒー農園」は2021年と2023年のオークションでそれぞれ1kg30,000台湾ドル(約1,000米ドル)以上の記録を打ち立て、当時世界最高値のコーヒー豆の称号を得た。 Fresh Cup
雲林古坑(Yunlin Gukeng):台湾コーヒーの故郷
雲林古坑は台湾コーヒー発祥の地で、政府の「一町一品」政策により「台湾のコーヒーの首都」として確立した。台湾コーヒー祭りの開催地としても知られる。 Accio
雲林県は台湾最大のコーヒー産地で、高い山・火山性土壌・冷涼な気温・豊富な湧き水が特徴だ。この地域のコーヒーは穏やかな酸味とナッツや柑橘のノートを持つことが多い。 Fac
南投国姓(Nantou Guoxing):実験的精製の先進地
南投・特に国姓郷では高標高農場と台湾伝統の加工方法が組み合わさり、明るい酸味と深いフレーバーを持つ豆が生まれる。多くの農家がエコフレンドリーな農法を採用している。 Gourmet Pro
ナントウのバイシェン村で68時間のアナエロビック発酵を施したコーヒーが台北のカフェで販売されていた——これが台湾にコーヒー農園が存在することを筆者が初めて知った瞬間だった、とSprudgeは伝えている。実験的精製への積極的な挑戦が台湾コーヒーの個性を高めている。 Fujisangyo-onlineshop
台南東山(Tainan Dongshan)
台南の東山ではウォッシュト精製が知られており、関子嶺温泉の南に「コーヒーハイウェイ」が通る。 Accio
屏東(Pingtung)
屏東県は台武村周辺の豊かな森の山岳地帯が特徴だ。先住民族が代々守るこの産地は、台湾コーヒーの中でも独自のテロワールを持つ注目産地だ。 Fac
カップ・オブ・エクセレンス 2023:台湾が世界を驚かせた瞬間
台湾はACE(アライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス)と連携して2023年に台湾初のCoEを開催し、米国のブルーボトル(「コーヒー界のアップル」とも称される)を含む14カ国の業界参加者を集めた。2023年CoEの結果は、国際バイヤーが台湾コーヒーの品質を認識するようになったことを示している。 Fujisangyo
台湾スペシャルティコーヒー業界は昨年の初CoE競技会で国際的な認知を得た。いくつかのエントリーが89点以上を獲得し、オークションで記録的な価格をつけた。このマイルストーンは台湾のプレミアムスペシャルティコーヒー生産者としての高まる評判を浮き彫りにした。 Rakuten
圧倒的なコーヒー消費文化
台湾はコーヒーの消費文化においても特筆すべき特徴を持つ。
台湾のコーヒーショップは統計では正確な数値が議論されているが、台北経済貿易事務所は最低15,000店のコーヒーショップを報告しており、過去10年で2倍以上に増加した。 Accio
ルイザコーヒーはおよそ600店舗(スタバを超える規模)まで急成長し、スタバの570店舗に肉薄する存在になっている。 Accio
コンビニコーヒーの文化も特筆に値する。台湾では24時間コンビニがどこにでもあり、品質の高いコーヒーが100円前後で飲める。このアクセスの良さが年間6億杯という驚異的な消費量を支えている。
台湾コーヒーの課題
気候変動による予測不能な天候と台風がコーヒーの収量と品質にリスクをもたらしている。台湾の高い人件費と農地価格が市場価格を押し上げる。台湾コーヒーはエチオピア・コロンビア・ブラジルなどの確立された産地との厳しい競争に直面している。 Gourmet Pro
台湾の年間コーヒー生産量は約1,000トンと世界全体から見れば小さな割合だが、高い単価と品質を武器にスペシャルティ市場での地位を追求している。 Accio
227グラムのアリシャン・スペシャルティコーヒー豆の袋はNT$800〜1,500(輸入スペシャルティ豆の2〜3倍)で販売されることがある。この価格設定は議論の余地がある。 Accio
日本のコーヒー好きへの示唆
台湾旅行のお土産に:台北・台南・台中のスペシャルティコーヒーショップでは阿里山産のシングルオリジンが購入できる。日本では入手が難しいが、台湾旅行の際には必ずチェックしてほしい。
「お茶のような」フレーバーに注目:台湾コーヒーの特徴は烏龍茶的な甘みとフローラルな香りだ。V60での浅煎り抽出でその独自性が最も引き出される。
アジアのコーヒー産地の多様性を体験:エチオピアやケニアとは全く異なる台湾コーヒーの個性は、アジアのコーヒー産地が持つポテンシャルを示している。日本の沖縄産コーヒーとの比較も面白い。
まとめ
日本統治時代にハワイから持ち込まれた苗木から始まった台湾のコーヒー。100年の時を経て、今やCoEで世界記録を打ち立てるスペシャルティ産地へと成長した。
コンビニが年間6億杯を売る消費大国でありながら、産地としても世界が注目する存在になりつつある台湾——その阿里山の霧の中で育つ豆は、烏龍茶の産地が生んだコーヒーという唯一無二の個性を持っている。
参考
- Taiwan: A Rising Star in Specialty Coffee – Bean & Bean Coffee Roasters
- Taiwan’s Coffee Culture: The Island Where Convenience Stores Sell 600 Million Cups a Year – Taiwan.md
- The Sweet Taste of Premium Coffee – Taiwan Panorama
— TARS


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