コーヒーチェリーの「皮」、ずっと捨ててたんですけど……
コーヒー好きなら一度は聞いたことがあるかもしれない「コーヒーチェリー」という言葉。コーヒー豆って、実は果物の種なんですよね。赤や黄色に熟した小さな果実の中に、あの豆が入っています。
で、その果実部分——果肉や皮のこと——って、コーヒーを精製するときにほとんど取り除かれてしまうんです。コンポストになったり、そのまま廃棄されたり。長年、業界全体で「どうにかならないかな」と思われてきた、いわゆる副産物(バイプロダクト)のひとつでした。
ところが最近、その「捨てられていた部分」が、健康面で注目を集めつつあります。タイで行われた臨床試験で、アラビカ種のコーヒーパルプから抽出した成分を含む飲料が、コレステロール値の改善に寄与する可能性があるという結果が出たんです。これ、なかなか面白い話じゃないですか?
そもそも「コーヒーパルプ」って何?
まずおさらいから。コーヒーパルプとは、コーヒーチェリーの果肉・果皮部分のこと。豆(種)を取り出したあとに残る、あの赤くてぷにぷにした部分です。
精製方法によって扱いは変わりますが、ウォッシュト(水洗式)の場合は大量に出てくるため、処理に困ることも多い。一部の生産地では肥料として再利用されていますが、それでも膨大な量が毎年出続けています。
ここ数年で「カスカラ」と呼ばれるコーヒーチェリーのお茶が注目されたり、コーヒーフルーツのサプリが登場したりと、パルプを積極的に活用しようという動きは少しずつ広まっていました。そこへ今回の臨床試験の結果が加わった形です。
タイで行われた臨床試験、どんな内容だったの?
今回の研究はタイで実施されたもので、アラビカ種のコーヒーパルプから作った抽出物入り飲料を、一定期間にわたって摂取した場合の健康への影響を調べたものです。
結果として注目されたのが、コレステロール関連の数値への影響。具体的には、いわゆる「悪玉コレステロール」として知られるLDLコレステロールの数値が、わずかながら改善傾向を示したとのこと。劇的な変化というよりは、「控えめながらも有意な改善(modest improvement)」という表現が使われています。
正直、「すごい!革命的!」と叫ぶほどの数値ではないかもしれませんが、今まで廃棄されていたものが健康効果を持つ可能性があると示されたこと自体、かなり意味のある話だと思いませんか?
気になる「業界支援」という背景
ひとつ注意しておきたいのが、この研究が業界支援(industry-backed)である点。つまり、コーヒー関連の企業や団体がスポンサーについている研究ということです。
これは別に珍しいことではないですし、研究の価値が下がるわけでもありませんが、結果の解釈には一定の慎重さも必要でしょう。独立した第三者機関による追試や、より大規模な研究が今後出てくることで、信頼性はさらに高まります。健康効果を過大解釈せず、「可能性のひとつ」として捉えるのがフェアな見方だと思います。
コーヒーパルプに含まれる成分、何が効いてるの?
コーヒーパルプにはどんな成分が含まれているのか、少し整理してみましょう。
| 成分 | 特徴 |
|---|---|
| クロロゲン酸 | コーヒー豆にも含まれる抗酸化物質。血糖値やコレステロールへの影響が研究されている |
| カフェイン | 果肉部分にも少量含まれる。豆ほど多くはない |
| 食物繊維 | 果肉由来の繊維成分。腸内環境へのポジティブな影響が期待される |
| ポリフェノール類 | 抗炎症作用や抗酸化作用を持つとされる化合物群 |
特にクロロゲン酸やポリフェノールは、以前からコレステロール値への影響を示す研究がちらほら存在していました。コーヒーパルプがこれらを豊富に含むことは以前から知られており、今回の臨床試験はそこに着目した形とも言えます。
サステナビリティの観点からも、これは大事な話
健康面だけじゃなく、環境・サステナビリティの観点からも、このトピックは重要です。
コーヒー産業は世界規模で見ると、信じられないほど大量の副産物を生み出しています。豆そのものより、その周りの果肉や殻の方が重量としては多いくらい。それが廃棄されたり、不適切に処理されたりすると、土壌汚染や水質汚濁の原因になることもあります。
もしコーヒーパルプが機能性飲料や健康食品の原料として商業的に活用できるなら——
- 廃棄物の大幅な削減
- 生産農家の新たな収益源
- コーヒー産業全体の持続可能性向上
といった副次的なメリットも生まれてきます。今回の研究が、そういった動きをさらに後押しするきっかけになれば、一石二鳥どころか一石三鳥くらいの話になりそうです。
「コーヒーフルーツ」ブームとの接続
実は近年、コーヒーパルプ・コーヒーフルーツを使った製品はじわじわと増えてきています。カスカラティーはその代表例ですが、最近はコーヒーフルーツ由来の抗酸化サプリメントや、エナジードリンク市場にも登場しています。
特に北米やヨーロッパでは「コーヒーフルーツエキス(WCFE)」を配合したサプリが注目を集めており、認知機能のサポートや抗炎症効果を謳うものも出てきています。今回のコレステロール研究は、そうした「コーヒー = 豆だけじゃない」という流れをさらに加速させる可能性があります。
日本でもカスカラを取り扱うカフェや専門店が少しずつ増えていますが、コーヒーパルプ由来の健康食品市場はまだまだこれから。海外の動向を見ながら、国内でも新しい展開が出てくるかもしれませんね。
まとめ:捨てられていたものが、次の主役になるかも
今回の研究を振り返ると、ポイントはこんな感じです。
- タイの臨床試験で、アラビカ種のコーヒーパルプ抽出物がコレステロール改善に寄与する可能性が示された
- 劇的な効果ではなく「控えめな改善」レベルだが、業界的には注目に値する結果
- 研究は業界支援であるため、独立した追試による検証も今後必要
- コーヒーパルプの活用は、健康面だけでなくサステナビリティの観点からも重要なテーマ
コーヒーって、豆を焙煎して飲むだけじゃなくて、その周りにもまだまだ可能性が眠っているんですよね。今まで「ゴミ」として扱われてきたものが、健康機能性素材として脚光を浴びる日が来るかもしれない——なんかちょっとロマンを感じませんか?
次にコーヒーチェリーを見かけたとき(まあ日本ではなかなか見ないですが)、「あの果肉、実はすごいやつかも」と思い出してみてください。
参考
— TARS


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