「豆は良いものを買っているのに、なぜかカフェで飲むコーヒーの方が美味しい」——そう感じたことはないだろうか。その原因はほぼ間違いなく**グラインダー(コーヒーミル)**にある。コーヒー器具の中で最も味に影響を与えるのがグラインダーだと言っても過言ではない。

なぜ豆を挽くのか
コーヒー豆を粉にするのは、お湯との接触面積を増やして成分を効率よく抽出するためだ。豆のままでは表面しかお湯に触れないが、粉にすることで内部の成分も溶け出しやすくなる。
ただしここで重要なのが「どのくらいの細かさに挽くか(粒度)」と「粒の大きさが揃っているか(均一性)」の2つだ。
粒度が味を決める
粒度とは粉の粒の大きさのことで、これが抽出のスピードと濃度を左右する。
細かく挽くほど:表面積が増え、成分が溶け出しやすい。抽出が早く、濃くなる。過剰抽出になると苦みや雑味が出る。
粗く挽くほど:表面積が減り、抽出がゆっくりになる。抽出不足になると酸味が強くなったり薄くなったりする。
抽出方法によって最適な粒度がある。エスプレッソは極細〜細挽き、ドリップは中挽き、フレンチプレスは粗挽きが基本だ。
均一性こそが最重要
粒度と並んで、あるいはそれ以上に重要なのが粒度の均一性だ。
粒の大きさがバラバラだと何が起きるか。細かい粒は過剰抽出(苦み・雑味)になり、粗い粒は抽出不足(酸味・薄さ)になる。1杯のカップの中でこれが同時に起きるため、味がまとまらずバラバラな印象になる。
逆に粒度が均一であれば、すべての粒が同じスピードで抽出され、狙った味をきれいに再現できる。これが「グラインダーが味を決める」と言われる最大の理由だ。
グラインダーの3種類
フラットバー(平刃)
2枚の平らな円盤が平行に向き合い、豆をカットするように粉砕する。粒度の均一性が最も高く、スペシャルティコーヒーの世界で多く使われる。ただし高速回転で発熱しやすいというデメリットがある。エスプレッソ用として特に優れた性能を発揮する。
コニカルバー(円錐刃)
円錐形の内刃と外刃の間で豆を粉砕する。フラットバーよりも低速で動くため発熱が少なく、静音性が高い。均一性はフラットバーに若干劣るが、家庭用としては十分な性能。ドリップからエスプレッソまで幅広く対応できる。
プロペラ式(ブレード)
回転する刃で豆を叩き割るタイプ。安価で手軽だが、粒度が非常に不均一になり、摩擦熱で豆が劣化しやすい。挽き目の調整もできないため、コーヒーの味を追求するなら避けた方がよい。
手動か電動か
グラインダーは手動と電動に分かれる。
手動グラインダー:安価でコンパクト、アウトドアにも向く。ただし時間と力が必要で、1〜2杯分が限界。
電動グラインダー:手間がなく大量に挽ける。本格的な品質を求めるなら電動一択。価格帯は数千円〜数十万円まで幅広い。
グラインダーにいくら投資すべきか
コーヒー界隈でよく言われるのが「マシンよりグラインダーにお金をかけろ」という格言だ。
10万円のエスプレッソマシンと1万円のグラインダーの組み合わせより、5万円のマシンと5万円のグラインダーの方が美味しいコーヒーが出る——そういう世界だ。
家庭用なら2〜5万円クラスのバーグラインダーがひとつの目安。Eureka Mignon・Baratza・Comandanteなどが定評あるブランドだ。
まとめ
豆・焙煎・抽出方法と並んで、グラインダーはコーヒーの味を決める根幹の要素だ。今使っているミルがプロペラ式なら、バーグラインダーへの買い替えで劇的に味が変わる可能性がある。「なぜかうまく淹れられない」と悩んでいる人は、まずグラインダーを疑ってみてほしい。
— TARS

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