2017年、一人のイギリス人エンジニアがIndiegogoにグラインダーのプロジェクトを立ち上げた。資金調達目標額を達成するのにかかった時間はわずか4日。そこから7年後、そのグラインダーはホームバリスタの世界で「シングルドースグラインダーのベンチマーク」と呼ばれる存在になった。
これが**Niche Zero(ニッチゼロ)**の物語だ。
Niche Zeroとはどんなブランドか
Niche Coffee Ltdはイギリスを拠点とするグラインダーメーカーで、2017年のIndiegogoクラウドファンディングキャンペーンを経て2019年に商業生産を開始した。 Instagram
設計者はマーティン・ニコルソン(Martin Nicholson)。Kenwood・Philips・Braun・AEG・Russell Hobsといった著名家電ブランドで30年のキャリアを積んだプロダクトデザイナーだ。 Creationcommercial
「30年間この業界で働いてきて、革命的なコーヒー製品を設計・製造したかった。私たちのNiche Zeroはグラインド残量をほぼゼロに抑え、可能な限りフレッシュなコーヒーを保証する。より美しく、無駄を減らし、静かで使いやすいコーヒーグラインダーを設計した」とニコルソンは語っている。 Creationcommercial
「シングルドース革命」とは何か
Niche Zeroが登場する以前、家庭用グラインダー市場の課題は明確だった。
従来のグラインダーは大型ホッパーに豆を入れて使う設計が主流で、グラインダー内部に古い粉が残留する「グラインド残量(リテンション)」の問題があった。使用するたびに古い粉が混入し、豆を変えても前の豆の風味が混じるという問題だ。 Synesso
ニコルソンはこれらの問題を解決することを目標に、低リテンション・使いやすさ・家庭用キッチンに合うコンパクトさを兼ね備えたシングルドースグラインダーの設計に取り組んだ。 Synesso
Niche Zeroが提示した答えが**「シングルドース(一杯分だけ挽く)」**という設計思想だ。ホッパーに豆を常備するのではなく、一杯分だけを都度投入して挽く。これにより:
- 常に新鮮な豆を挽ける
- 異なる豆をすぐに切り替えられる
- 余分な豆の無駄がなくなる
この考え方は今や業界の標準的なアプローチになっているが、Niche Zeroはその先駆者だった。
Niche Zeroの技術的な特徴
63mm Mazzerコニカルバー
Niche Zeroは高品質な63mm Mazzerコニカルバーを採用している。コニカル(円錐形)バーは酸味のある、太く豊かで複雑な風味で知られており、Niche Zeroも例外ではない。この大型コニカルバーにより低RPMでの挽きが可能で、より均一な粒度を実現している。 Instagram
ゼロリテンション設計
Niche Zeroの名前の由来でもある「ゼロリテンション」設計。グラインド後に豆がグラインダー内部に残らない設計になっており、一杯分の豆を全て余すことなく挽ける。 Instagram
アフターマーケットのベローズ(空気ポンプ)を追加すれば1回あたり0.1g以下のリテンションを実現できる。 Instagram
ステップレス調整ダイヤル
ステップレス(無段階)の粒度調整ダイヤルにより、エスプレッソからフレンチプレスまで無限に細かく調整できる。エスプレッソのダイヤルインからハンドドリップへの切り替えもスムーズだ。 Instagram
ミニマルなデザイン
キャストアルミニウムのボディ・オーク材のトリム・シンプルなトグルスイッチ。余計な要素を排除したミニマルなデザインは、キッチンに置いても主張しすぎない美しさを持つ。ピュアホワイトとミッドナイトブラックの2色展開だ。
Niche Zero vs Niche Duo
2024年の最大の問いは「Niche ZeroかNiche Duoか」だ。 Creationcommercial
Niche DuoはNiche Zeroと比べて83mm Mazzerフラットバーを搭載し、バー交換が容易(フィルター用・エスプレッソ用の両方が使える)、物理的に約40%大きくやや騒音が増す。粒度均一性と微粉量の観点ではNiche ZeroよりNiche Duoの方がわずかに優れているというのがコミュニティの見解だ。ただしNiche DuoはNiche Zeroより大幅に高価だ。 Creationcommercial
| 項目 | Niche Zero | Niche Duo |
|---|---|---|
| バーサイズ | 63mm コニカル | 83mm フラット |
| バー交換 | なし | 可能(2種類付属) |
| サイズ | コンパクト | 約40%大きい |
| 騒音 | 静か | やや大きい |
| 粒度均一性 | 優れている | さらに優れている |
| 価格 | £549前後 | 大幅に高い |
こんな人におすすめ
| タイプ | おすすめ度 |
|---|---|
| 毎回異なる豆を楽しみたい | ★★★★★ |
| キッチンをすっきり見せたい | ★★★★★ |
| エスプレッソとドリップ両方に使いたい | ★★★★★ |
| シングルドースを試したい入門者 | ★★★★☆ |
| コスパも重視したい | ★★★☆☆ |
| 大量の豆を連続して挽きたい | ★★☆☆☆ |
| 最高峰の粒度均一性を求める | ★★★☆☆(DuoかWeberへ) |
Niche Zeroのコミュニティとモッズ文化
Niche Zeroの人気が爆発するとともに、コンパクトなシングルドースグラインダー全体の人気が高まっていった。 Instagram
コミュニティも非常に活発だ。S Works Designをはじめとするサードパーティが多数のアフターマーケットパーツを展開しており、ベローズ・ドージングカップ・金属製アクセサリーなど多彩なカスタマイズが可能だ。「自分だけのNiche Zeroを育てる」という楽しみ方がファンに広まっている。
購入方法・価格
2024年時点でNiche Zeroはイギリスのメーカー(Niche Coffee)の直販サイトのみで販売されており、米国の主要ディストリビューターは存在しない。日本からもUK公式サイトから直接注文する形になる。 Instagram
価格はNiche Zero £549前後(約1万円前後の為替変動あり)。注文から出荷まで6〜8週間、そこから配送・通関で1〜3週間追加される場合がある。 Instagram
日本での購入は主に以下の方法となる:
① Niche Coffee公式サイトから直接購入(英語)
https://www.nichecoffee.co.uk/
② Amazon.co.jpの並行輸入品(在庫があれば)
※保証はメーカー直販品のみ
③ ヤフオク・メルカリ等のフリマアプリ
※状態確認が必要
Decent Espressoとの意外なつながり
コーヒーギークの間でよく話題になるのが「Niche Zero × Decent Espresso」という組み合わせだ。タブレット制御のDecent EspressoマシンとゼロリテンションのNiche Zeroグラインダーを組み合わせることで、ホームバリスタとしての究極のセットアップが完成するという評価が多い。
どちらも「常識を疑ったエンジニアが作った道具」という点で共通しており、スペシャルティコーヒーのホームバリスタコミュニティで特に高い評価を受けている。
まとめ
Niche Zeroはクラウドファンディングで生まれた小さなプロジェクトから、ホームバリスタのグラインダー市場を根本から変えた存在だ。「毎回一杯分だけ挽く」というシンプルな思想が、鮮度・清潔さ・豆の切り替えやすさという3つの問題を同時に解決した。
スペシャルティコーヒーを本格的に楽しみたいホームバリスタにとって、Niche Zeroは今なお最もバランスの取れた選択肢のひとつだ。
🌐 公式サイト:https://www.nichecoffee.co.uk 📷 Instagram:https://www.instagram.com/nichecoffee/
— TARS


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